第十番札所である巌殿山 正法寺(しょうぼうじ)は、別名『岩殿観音』と呼ばれ、岩殿丘陵の東、標高135メートルの物見中腹にあるお寺。逸海上人により開山され、奈良時代(718年)に岩窟に観音様を安置したことが始まりとされている。
本堂・観音堂へと長い石段を登り参拝できる。岩場に並ぶように安置された仏様が見事な真言宗智山派のお寺である。
細く長い門前道を通り、正法寺の前までくると、やや広い専用駐車場が用意されている。参拝客は無料で停められるので、こちらに駐車して石段の方へ向かう。まっすぐ伸びた石段は、とても美しく、見上げると仁王門がそびえたつ。
この石段は、昭和16年に積み替えられた石段だそうだ。
仁王門には、2躯の仁王様が安置されている。こちらの仁王像は、かつては運慶作とされていたそうだが、実は後から、運慶作の仁王像は火災で消失し、その後再建されたものと分かったそうだ。
仁王門をくぐり、さらに続く石段を登り観音堂へと。
来た道、石段を振り返ると眼下に、かつての門前町が見下ろせる。
観音堂のある場所まで到着。
こちらが観音堂。こちらの観音堂は、3度の火災に見まわれ、現在の観音堂は明治12年に移築されたもの。観音堂内には、約48センチの千手観音像(銅鋳製)が御本尊としてまつられている。普段は前立観音をお詣りできるが、御本尊の御開帳は12年に一度の午歳(うまどし)だけだそうだ。
そして、観音堂の横には『絵馬堂』が。
絵馬堂からは、石崖に安置された小さな石仏がみられる。この石仏は、四国八十八ヶ所の写本尊であり、四国八十八ヶ所を参拝したのと同じ御利益が得られると言われている。
また、正法寺には樹齢700年の大銀杏も有名だ。まだ黄色に色づいてはなかったが、迫力のある、この大銀杏が秋に色づく姿は、さぞかし美しいであろう。観音堂と大銀杏の組み合わせが、実に見事である。
こちらが、鐘楼。この鐘楼は1702年に作られたもので、屋根は萱葺きの寄棟作りである。鐘楼から見下ろす門前が、とても素晴らしい眺めであった。
正法寺の見どころは、何と言っても、大銀杏と崖に安置された小さな石仏群、そして、鐘楼から眺める門前の景色である。質素で静かなお寺で、都会の喧騒を忘れさせてくれる山々から流れる風も清々しい。
御朱印をいただく時に、ご住職とお話をする機会があったが、ご住職の対応も丁寧で優しく、人々に愛されるお寺であることが伝わってきた。もうすぐ紅葉するであろう大銀杏を観に、ぜひお参りくださいませ。
※下記情報は、2018年現在の情報です。
基本情報 | |
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住所 | 埼玉県東松山市大字岩殿 1229 TEL:0493-34-4156 |
宗派 | 真言宗智山派 |
御本尊 | 千手観音坐像 |
御開帳 | 12年に一度の午歳 |
URL | http://iwadonosan-shoboji.org |
時間/拝観料 | 8:30〜17:00 無料 |
注 目 | 大銀杏が色づく紅葉の季節がおすすめ。12年に一度の午歳の御開帳に合わせての参拝もおすすめ。 |
駐車場 | あり(無料) |
地図 |
御朱印 |
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<参考>
※1:坂東巡礼 三十三観音と心の法話,坂東札所霊場会監修,電気情報社,2014
※2:御朱印でめぐる 関東の百寺 坂東三十三観音と古寺,ダイヤモンド社,2017