映画『影武者』の有名なラストシーンにもある、甲斐の武田軍と織田・徳川連合軍との闘いシーン「長篠の戦い」は、あまりにも有名な歴史上の戦(いくさ)である。先日、そんな有名な「長篠の戦い」に関する戦国時代の史跡めぐりに行って来た。
そもそも、「長篠城」とは、現在の愛知県新城市にあったお城。
永正5年(1508年)に、菅沼元成が築城。元成と、その子孫・長篠菅沼氏が居城としたお城である。
もちろん、今は、天守閣などは現存しておらず、本丸付近は大規模な空堀と土塁など、多くの遺構が残っているだけである。
しかし、お城の姿はないものの、歴史ロマンの風合いただよう城跡は、趣きのある乾いた景色で独特ですばらしい。 城跡内にある歴史資料館などものぞき、ちょっとだけ歴史のお勉強をしてみる。
戦国時代において、長篠城をめぐる戦いは3回ある。 通常、わたしたちが「長篠の戦い」と認識している戦(いくさ)は、天正3年(1575年)5月の戦いの事を指しているそうだ。 さらに、この戦いは、前半部分の「長篠城の攻防」と後半の「設楽原快戦」の2つに大きく分けられるとの事を知った。
長篠城址・史跡保存資料館
そもそも、甲斐の武田軍が長篠城を攻めたのは、信州から京都をのぞむためには、大事な拠点に長篠城が居を構えていたため。
天正3年に、織田信長・徳川家康連合軍 38,000と武田勝頼軍 15,000との間で勃発した戦いが、いわゆる「長篠の戦い」だ。
この戦で、敗北した武田軍は甚大な被害を受け、歴史が大きく揺らぐきっかけになる戦いであることで有名だ。
そんな、長篠城をめぐる戦に関連する資料が、こじんまりとまとまった資料館をぐるりと回り、その後、設楽原歴史資料館へ移動。(車で数分の所に設楽原歴史資料館がある)
設楽原歴史資料館
資料館内は設楽原の戦いに関する解説のコーナーや、火縄銃の数々が展示されている。
日本最大級の火縄銃の展示とうたっているだけあり、その数や種類は豊富で、火縄銃のデザインをみているだけでも面白かった。
昔の人達というのは、本当におしゃれだったと思う。
火縄銃に施された細かなデザインディテールが美しい。
キラキラした装飾に、目をうばわれてしまった。
また、火縄銃の解説を読んでいて驚いた事がある。
昔、種子島に伝来した鉄砲だったが、ポルトガル人から買い付けた火縄銃を元に、日本の鍛冶職人がコピーして、すぐさま日本製の火縄銃を次々と作り始めたという歴史である。
長篠の戦いで使用した織田・徳川連合軍の鉄砲のほとんどが日本製。 すでに、この古い歴史の中でもメイド・イン・ジャパンが息づいていたのかと思うと、すこぶる感慨深いものがある。
信長の三段構え 馬防柵
さらに、設楽原歴史資料館のまわりには、様々な史跡が点在していた。
すべてを回るには、多少時間がなかったため、長篠の戦いでは超有名な、信長の三段構え「馬防柵」を再現したところだけ見に行くことに。
「長篠の戦い」では、当時、最新兵器であった鉄砲を3,000丁も用意したと言われる織田・信長連合軍。 さらに織田軍は、新戦法とされる、「三段撃ち」を実行したという言い伝えがある。(三段構えは実際にあったらしいが、三段撃ちがあったかどうかは諸説あるらしい)
馬防柵を再現したといわれる観光名所までの風景は、しずかな田園風景。
静かにひろがる枯れた田畑が、なんとも心を静かにおだやかにさせてくれる。とても気持ちの良い風景だった。(気にいった)
歩くとちょっとだけ沈む、田んぼのあぜみちをゆっくり歩いてみる。懐かしさと歴史の風合いがあいまって、なんだか眠くなってきた。(笑)
そんな冬枯れの田園風景の真ん中に、馬防柵はあった。
当時、無敵と呼ばれた武田の騎馬隊をこの柵で防ぎ止め、その内側から鉄砲で狙い撃ちするために造られた柵が馬防柵である。この戦法の織田軍を前に、当時最強と呼ばれた武田の騎馬隊は成すすべもなかったと言われている。
正しくは、乾堀と馬防柵と銃眼付きの身隠し(土塁)の三段構えであったことが古文献と時代考証によって明らかになっていて、それを忠実に再現したものである。
都会のように現代的な建物もなく、素朴な田園風景の中に溶け込んだ馬防柵は、妙にリアルで、不思議な感覚に陥った。
なかなか面白いところなので、機会があれば、ぜひ観に行って見ると良いと思う。
兵どもが夢の跡
武田信玄の跡をついだ武田勝頼。
織田・徳川連合軍が放った戦法の前に大きくやぶれ、この戦いで多くの名だたる名将を失い、その後、勢力が弱まり、7年後に天目山で命を落とす勝頼。天目山にも行った事があるがとてもさびしいところだった。
武田勝頼の運命というものも、なかなか儚い歴史の趣きを感じてしまう。
武田信玄の四男として誕生した勝頼。側室である諏訪御料人との間に生まれた勝頼は、非常に優秀な軍師だったと聞いたことがある。
しかし、諏訪家の血をうけた勝頼の運命は、どこか悲運さを醸し出している気がして、少ししんみりするものである。
Battle of Nagashino.
Akira Kurosawa’s film “Kagemusha”-Τhe Shadow Warrior-.