第二十二番札所の佐竹寺は、茨城県常陸太田市にある古寺。茅葺き屋根の観音堂は、国内3番目の大きさで、国の重要文化財に指定されている。この観音堂は、2011年の東日本大震災で震度6に見舞われても少しの損傷もなかったそうだ。佐竹寺の観音堂の柱には、多くの納札が貼られていて、それはそれは圧巻。
佐竹寺の目の前には数台の駐車場があり、坂東三十三観音の札所になっているせいか、小さなお寺であるものの、次から次へと参拝者の車が停まる。
駐車場の前には仁王門。この仁王門は江戸時代(1700年代)に建てられたものだそうだ。不動明王と毘沙門天が祀られている。
この佐竹寺は、戦国時代の武将であった佐竹氏ゆかりのお寺であり、別名北向き観音とも呼ばれる。佐竹寺の御本尊は十一面観音像。現在は、真言宗豊山派の寺院である。
この寺の御本尊である十一面観音像は、聖徳太子が造ったもので、それを花山法皇が念持仏にしていたと伝わっているそうだ。
また、本尊が鬼門除けのために北を向いて建てられていることから、北向き観音とも呼ばれる。
境内は、比較的こじんまりとしており、住宅街の中に溶け込むようにひっそりと建っているお寺だ。観音堂に続く参道には大きな銀杏の木が立っており、茅葺きの観音堂に似合う。
本堂は、茅葺き屋根で、実に大きな観音堂である。創建は室町時代(1546年)、桃山建築様式であり、1906年には国の重要文化財に指定された。内陣は、華麗な須弥壇が設けられ、ご本尊の十一面観音が安置されているそうだ。普段は閉じられているので、直接御本尊は観られないが、観音堂を一回りできるので、その壮大な建築様式を堪能することができる。
そして、この観音堂には、ものすごい数の納札が貼られている。納札とは別名「巡礼札」とも言われ、昔は巡礼者が観音霊場への祈願のために、納札を観音堂に打ち付けた事から始まったそう。もちろん、現代ではお堂に納札を貼ることは禁止されているしマナー違反ではあるのだが、この佐竹寺には、かつての納札のなごりが残っている。
佐竹寺は安産、子育て厄除け祈願のお寺。毎月17日には縁日が開かれ、地元の住民に愛されている親しみ深い古寺である。
一見、札所とは思えないほどの平地にあり、通り沿いの住宅街の中にひっそりと佇んでいる。それほど、身近に仏様を感じられる霊場(札所)なのだろうと感じた。実にありがたいお寺である。
※下記情報は、2018年現在の情報です。
基本情報 | |
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住所 | 〒313-0049 茨城県常陸太田市天神林町2404 Tel:0294-72-2078 |
宗派 | 真言宗 |
御本尊 | 十一面観音像 |
御開帳 | ー |
URL | http://www.geocities.jp/s_satake_ji/ |
時間/拝観料 | 4月~10月:9時~16:30 11月~3月:9:00〜16:00 昼食時間:12時~13時 |
注目 | 銀杏の木が色づく季節がおすすめ。 |
駐車場 | あり(数台) |
地図 |
御朱印 |
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<参考>
※1:坂東巡礼 三十三観音と心の法話,坂東札所霊場会監修,電気情報社,2014
※2:御朱印でめぐる 関東の百寺 坂東三十三観音と古寺,ダイヤモンド社,2017