益子町にある益子観音
栃木県益子町にある西明寺(さいみょうじ)は益子観音と呼ばれる坂東三十三観音 第二十番札所です。益子町と言えば、益子焼と呼ばれる焼物が有名な街ですよね。西明寺(益子観音)は、益子町の市街を望む高館山の中腹にあるお寺です。山号は獨鈷山(とっこさん)です。
西明寺は坂東三十三観音の札所らしく、うねうねした細い山道をほどよく登った所にあります。西明寺までの山道は修行の寺へと続く道さながらです。車ではいってこれますが決して幅広の道ではないので注意してください。
西明寺は782〜806年頃に弘法大師が来山し、その時に伽藍を構える大きなお寺の基礎を築いたと言われています。その後、1351年には一度消失しましたが、その後、再興を繰り返しながら現在に至ります。
西明寺の入り口には獨鈷庵(とっこあん)という納経所があります。参拝の後はこちらで御朱印をいただきます。また、納経所と並んで食事ができる休憩所である獨鈷處(どっこいしょ)がありますので、ちょうどお腹が空いていたので、手打ち山菜そばをいただきました。
獨鈷庵の隣にある巨木が綺麗でした。
納経所である獨鈷庵。こちらで御朱印をいただきます。
こちらは手打ちそば(山菜そば)です。休憩所(獨鈷處)には綺麗なお手洗いも完備されていますのでご安心ください。
獨鈷庵の隣にある竹林です。
山号の獨鈷山(とっこさん)にもあるとおり、獨鈷(とっこ)とは両端が分岐していない金剛杵のことで、弘法大師が来山した時に妬まれ岩屋に押し込められたそうですが、その時に獨鈷(とっこ)で難を逃れたという言い伝えから、この獨鈷(とっこ)が山号(獨鈷山)になったそうです。
食後は早速お詣りに向かいました。ここから長い石段を登って観音堂へと向かいます。
石段のあちらこちらには、恵比寿様やお地蔵様など、にこやかな表情の石仏が沢山置いてありました。朗らかな微笑みに歓迎されながら長い石段を登ります。
西明寺の椎林叢(天然記念物)
西明寺のある益子は、温暖な地域と寒冷な地域との境目にあるために、その特徴が植物にも現れているそうです。西明寺のある高館山も同様で、暖温帯に生息する植物であるシイの木と、冷温帯に生息するブナの木が自生・共存しているそうです。
そのため、高館山は植物のみならず、昆虫や野鳥も特徴的なエリアです。西明寺の敷地内にも、天然記念物のコウヤマキやシイの大木がありました。幹が四方形のめづらしい四角竹も群生しています。
このように、石段の両側に生息している周囲2メートル以上の椎林は県の天然記念物に指定されています。この椎林にはアラカシ、シラカシ、ウラジロガシ、アカガシなど、栃木県内で見られるほとんどのカシ類が見られるそうです。
この石段の風景はとても風光明媚で、とても気持ちの良い風景です。
楼門と三重塔
石段を登り切ると1492年に建立された楼門(ろうもん)が見えてきます。この楼門は茅葺きになっていて見事な佇まいでした。楼門には2体の金剛力士像が安置されています。
楼門の左側には三重塔があります。こちらの三重塔は1538年の建立と言われています。和様、折衷様、唐様の三様式です。関東甲信越の四大古塔の一つだそうです。西明寺は楼門、三重塔、本堂内厨子の3つが国の重要文化財に指定されている由緒あるお寺です。
笑う閻魔さま
楼門をくぐると右手に閻魔堂があります。こちらも茅葺きの趣あるお堂です。
閻魔堂の横にある白梅が満開でした。とても見事です。
こちらの閻魔堂は、寄棟造り、茅葺きで正面三間に蔀戸がついています。1714年に建立し1743年に再建されたものです。堂内には5体(閻魔大王、善童子、悪童子、奪衣婆、地蔵尊)の仏像が安置されています。中央に安置されている閻魔大王は笑っているように見える閻魔さまです。こちらの閻魔さまは『笑い閻魔』と呼ばれ、西明寺を象徴する仏像です。
閻魔堂の格子越しに中を見ることができますので、ぜひ御覧ください。
さらに、左手には鐘楼堂(1671年に鋳造)があります。現在は鐘をつくことはできませんでした。
観音堂
観音堂手前には無尽水(むじんすい)聖水(せいすい)があります。こちらは、弘法大師ゆかりのものです。普通の水とは違い聖なる水とされ、儀式に用いられる水だそうです。
こちらが観音堂です。
観音堂の中は見られませんが、本堂内の厨子は全唐様式、一間厨子宝形の造板葺きです。本堂厨子は国の重要文化財に指定されています。
本堂内陣には、聖観音菩薩、馬頭観音菩薩、千手観音菩薩、延命観音菩薩、如意輪観音菩薩、勢至菩薩が安置されています。すべて鎌倉時代に作られた仏像で県指定文化財に指定されています。
ご本尊は秘仏で牛年に御開帳されます。
さらには、観音堂に向かって右側には弘法太子堂がありました。茅葺きの太子堂には数十体の弘法大師像が安置されています。現在も弘法大師像の寄進を受け付けているそうです。寄進すると弘法大師像の台座に寄進者名を入れてくれるそうです。
太子堂の隣には、高野槙(こうやまき)があります。高野槙は樹高30メートル、樹齢約800年を超える巨木だそうです。栃木県の天然記念物に指定されています。
ハイキングコース
西明寺の観音堂の裏側には権現平に続くハイキングコース(関東ふれあいの道)があります。権現平までは約300メートル。山道ですが整備されてて歩きやすい遊歩道になっていますので、登りやすいです。
山道をゆっくり歩いて権現平に到着。広場になっていて、いくつかベンチが設置されていてお弁当などを食べられるようになっています。お天気の良い日は暖かくて気持ち良いです。
登りは少し息切れしましたが、下りはあっという間。帰りに、納経所である獨鈷庵で笑いエンマおみくじを引いてみました。
『中吉』でした。笑いエンマさまは、お持ち帰りです。とても可愛いですね。
西明寺は、さまざまな国指定の重要文化財を保有する由緒あるお寺です。坂東三十三観音の札所になっているので有名なお寺ですが、参拝者でごった返す事もなく静かな空間でした。
特に『笑うエンマ様』は必見です。是非、お詣りください。
基本情報
住所 | 〒321-4217 栃木県芳賀郡益子町益子4469 |
宗派 | 真言宗豊山派 |
ご本尊 | 十一面観音菩薩 |
御開帳 | 牛年 |
URL | http://fumon.jp |
拝観料 | 本堂内陣 300円 |
拝観時間 | 8:00〜17:00(冬時間は16:00まで) |
駐車場 | あり(無料) |
御朱印