北鎌倉を代表する大寺院 円覚寺
古都鎌倉めぐりでは、鎌倉駅からスタートする場合と北鎌倉駅からスタートする場合に分かれる事が多いのではないでしょうか。鎌倉駅からスタートする場合には、駅から鶴岡八幡宮まで延びる参道にある小町通りを楽しんだり、江ノ電にのって江ノ電沿いの神社仏閣をめぐる旅がおすすめです。
そして、北鎌倉駅からスタートする場合は、北鎌倉駅前にある円覚寺への参拝から始めるのが定番です。
円覚寺は北鎌倉駅の真ん前にある寺院。臨済宗・円覚寺派の本山で、広大な敷地に多くの伽藍を揃えた壮大なお寺です。北鎌倉駅に来たなら、ほとんどの人が参拝するお寺と言っても過言ではないでしょう。
先日、円覚寺を参拝してきたので、ブログにてご紹介したいと思います。まずは円覚寺のご紹介です。
円覚寺の創建は1282年。開基は北条時宗、開山は宋から来朝した高僧の無学祖元です。もともと、円覚寺は蒙古来襲で戦没した多くの霊を敵味方なく弔う事を目的として創建されました。
開山した無学祖元は中国に生まれ、12歳で出家。かねてから禅宗に帰依していた北条時宗に招かれて日本にやってきました。あれから、長い時を経て、円覚寺は鎌倉の禅寺として非常に有名なお寺になりました。
円覚寺はこれまで、何度も大火に見舞われた事がありましたが、江戸末期に伽藍を復興しました。このころから今の円覚寺の基礎が固まり、今では坐禅会などを通じて多くの人々に親しまれるお寺となりました。中でも、舎利殿は国宝となっています。
総門と山門
北鎌倉駅を降りると、すぐ目の前に円覚寺の総門に向かう石段が見えてきます。目の前にある寺院なので迷うことはありません。
総門に向かって延びる石段の前には、見事な紅葉が青々と繁っています。真夏の暑い日差しも紅葉の木陰に逃げると、少し涼やかです。束の間ですが涼を感じられますね。さて、石段を登って総門へと向かいます。
総門をくぐり拝観料を支払って中へと進みます。また石段が見えてきますので、そちらを登って山門へと。
こちらの山門は1785年に再建されたもので、神奈川県指定重要文化財となっています。「円覚興聖禅寺」という文字が彫られており、こちらは北条貞時の時代に伏見上皇より賜ったものだそうです。山門内には、非公開ではありますが十一面観音、十二神将、十六羅漢が祀られているとのことです。
広大な敷地に大迫力でそびえ立つ山門という感じです。
山門の先に仏殿があります。仏殿には円覚寺の御本尊である宝冠釈迦如来が祀られています。一度、関東大震災で倒壊してしまいましたが、昭和39年(1964)に再建されました。禅宗様式の七堂伽藍の中心に位置する建物です。現在は、中には入れないので入り口で参拝しました。
仏殿の前は広場のようにひらけていてベンチなどが用意されています。真夏は暑くて長くはいられませんが、心地よい陽気の際には、しばらく緑に囲まれてぼんやりするのも気持ちよさそうでした。
大方丈と妙香池
仏殿を先に進むと大方丈があります。法要や坐禅会、説教会や夏期講座などの各種講演会などに使われる建物です。『方丈』とは、ご住職が住む建物の事を指すそうです。
方丈のお庭に植えられている柏槇(ビャクシン)は鎌倉市の天然記念物に指定されています。
大方丈の中の書院の前には美しい日本庭園がひろがり見事な佇まいです。庭園を近くで観ることができます。
大方丈の前には美しい池、妙香池があります。こちらの池は創建当時からある池で、平成12年に復元されました。名前が良くわからないのですが、美しい鳥が水浴びしていました。とても優雅な光景でした。
舎利殿(しゃりでん)
妙香池の先には『舎利殿(しゃりでん)』があります。舎利殿には佛牙舎利(ぶつげしゃり)というお釈迦様の歯が祀られています。こちらは、源実朝が宋から請来したそうです。中国様式の最も美しい建物として国宝に指定されています。
近くまでは行けませんので、遠くから眺める形で手をあわせます。
佛日庵
舎利殿の隣には佛日庵があります。佛日庵は円覚寺の開基である北条時宗公を祀る塔頭寺院です。時宗公はこの場所で禅の修業を行ったそうです。時宗公が禅の修業をしていたときに信仰していた十一面観音坐像(※)と、北条時宗公と貞時公、高時公の各木像が安置してあります。
※十一面観音坐像は鎌倉観音霊場第三十三番の札所になっていて、こちらが結願寺(最後に御詣りするお寺)となっています。
こちらが開基廟(かいきびょう)です。北条時宗公、貞時公、高時公の棺が安置されています。
境内には、川端康成の小説『千羽鶴』の舞台になったことでも知られる茶室・烟足軒(えんそくけん)があります。また、開基廟の前ではお抹茶をいただくことができます。この日は暑かったので、冷たいお抹茶をいただきました。(500円)和菓子もついてきました。
ちょっとした休憩に喉を潤します。こちらでの一休みはおすすめです。
こちらの本堂には、南北朝期の地蔵菩薩坐像(鎌倉地蔵霊場十四番)と鶴隠周音木像が安置してあります。靴を抜いて中に入ることができますので、こちらは中に入って御詣りしましょう。
ご本堂の中は静かで涼しくて、しばらくボーッとしてしまいました。静寂の中で心を整える事は、心のメンテナンスになります。
円覚寺の巨大な境内の中でも佛日庵は、格別に癒やし空間ですので、必ず御詣りしましょう。
黄梅院
円覚寺の一番奥には『黄梅院』があります。より一層緑深き場所にあり、木陰が一瞬涼やかに感じられるお堂がありました。
居士林(こじりん)
円覚寺の中で『黄梅院』が最も奥にある建物なので、ここから折り返して戻ることになります。
こちらは居士林(こじりん)。「居士(こじ)」とは禅の修行者を言うそうです。よって、居士林は禅を志す在家のための専門道場。いまでは、居士林にて、学生坐禅や土日坐禅会などが開かれる場所となっています。
紅葉が美しいですね。秋には真っ赤に紅葉しますので、秋にまた来てみたいものです。
選仏場(せんぶつじょう)
こちらは選仏場という建物です。選仏場とは、仏を選び出す場所という意味で修行僧の坐禅道場のことです。選仏場には、南北朝時代の薬師如来像が中央に祀られています。さらには、大慈大悲観世音菩薩像も安置されています。
洪鐘(おおがね)と弁天堂
入り口付近にある山門に向かって右側には、弁天堂につながっている石段と鳥居があります。この道は大鐘道と呼ばれています。急な石段の登って頂上まで。
こちらの大鐘は関東で最も大きい洪鐘です。高さ259.5cmもあり、国宝に指定されています。こちらの大鐘は、円覚寺の開基である北条時宗の子である貞時が正安3年(1301に寄進したものだそうです。国家安泰を祈願して寄進されました。
近くでみると、本当に大きくて迫力があります。
そして、大鐘の目の前には弁天堂があります。こちらの弁天堂は、江ノ島弁財天の加護によって洪鐘の鋳造が完成したと伝えられたことから、、その弁財天を祀るお堂なのだそう。北条貞時が洪鐘と同時に弁天堂を建立しました。
北鎌倉駅前にある円覚寺は、広大な境内に多くの伽藍を備えた巨大な寺院です。美しい緑に囲まれた空間は、四季折々の景色に癒やされます。現在、新型コロナウイルス感染症の影響で中に入れない所も多くありますが、都会の喧騒から離れて心静かに空間で過ごすには最高です。どうぞ、御詣りください。